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第八回 季節の公募展「夏余」インタビュー

海と海霧が広がる砂浜で、人物を遠景に捉えた写真

2026年7月1日(水)〜7月8日(水)に開催いたしました
第八回 季節の公募展「夏余」
展示詳細:https://iris–gallery.com/exhibition/1056/
御礼・投票結果:https://iris–gallery.com/blog/1142/

見事、来場者投票1位に輝きました、Sat Shin様へインタビューを行いました!

インタビュー

  1. 「夏余」という言葉を受け取ったとき、Sat Shin様にとって“夏が過ぎたあとにも残るもの”とは何でしたか?
    今回の作品と、テーマをどのようにつなげて考えられたのか伺いたいです。

    今回応募した写真は、第一回公募展「凛秋」に出展した写真と、実は同じ日に撮影したものです。

    「凛秋」の作品を撮影したのは夜明けの時間帯で、秋の気配を感じるような温度がありました。その後、撮影場所を移動している間に少しずつ夜が明け、到着した海岸では、湿った空気が海面で冷やされたことで海霧が発生していました。

    撮影日は8月29日。季節としてもちょうど「夏の終わり」です。

    「夏余」というテーマを聞いたとき、撮りためていた写真の中から、この一枚が自然と思い浮かびました。

    季節が移り変わる時期、そして夜から朝へと時間が移り変わっていく中で、それに合わせるかのように海霧が二段、三段と重なりながら目の前に広がっていった風景。

    そのときの光景を思い出し、「夏が過ぎていく、その余韻」という今回のテーマには、この写真が合うのではないかと思い応募しました。
  2. この写真を撮った日のことを、写真に写っていない部分も含めて教えてください。
    場所や天候だけではなく、撮影へ向かうまでのこと、モデルさんとの会話、その日の空気など、今でも記憶に残っていることがあればぜひ教えてください。

    撮影自体は夜明けの時間帯で、海から陽が昇る場面を撮ることを目的にしていました。

    少し出発が遅かったこともあり、最初の撮影場所で撮った写真が、第一回公募展「凛秋」に出展した作品になっています。

    そのときは、光の状態が七色にも見えるような、印象的な写り方をしていました。

    そこから「次はどうしようか」と相談しながら場所を移動していきました。

    山中さんも写真を撮る人、自分も撮る人。その場所の状況を見ながら、カメラの設定なども一緒に決めていく。そうした撮影スタイルは、この日も変わりませんでした。
  3. この作品では、広い空や海、砂浜に対して人物がとても小さく写っています。
    人物を大きく見せるポートレートではなく、この距離感を選ばれたのはなぜでしょうか。
    人物と風景を、どのような関係として見せたかったのでしょうか。

    この写真では、手前に写っている水面の光や海霧も含めて見せてみようと話し合い、山中さんに動いてもらいながら撮影しました。

    特に「人物をここに置こう」と最初から明確に決めていたわけではありません。

    目の前にある風景の中で、人物をどれだけ印象強く残せるか。

    あるいは逆に、どれだけ自然に風景の中へ溶け込ませることができるか。

    それが、この写真の一つのキーワードなのかもしれません。

    人物は小さく写っていても、存在感はきちんとある。

    時間と空気、そして目の前に広がる風景を司るような存在。

    そんなイメージです。
  4. ポートレートは、撮る人だけで完成するものでも、撮られる人だけでも完成するものでもないと思っています。
    この一枚では、Sat Shin様が考えていたことと、モデルさん自身の動きや表情、存在によって生まれたものは、それぞれどんな部分だったと思いますか?

    以前、「凛秋」の際にも同じようなことをお話ししたかもしれませんが、私と山中さんが一緒に撮影するときは、カメラの設定や構図まで、その場で打ち合わせをしてから撮影に入ります。

    撮ったら、その場ですぐに写真を確認する。お互いに納得できれば次へ進みますし、そうでなければ調整してもう一度撮ります。

    寄りのカットの場合は、画角までかなり細かく決めることもあります。

    山中さん自身も、顔にちょうど良い光が当たる位置へ動いたり、光を見ながら調整してくれるので、今度は撮る側がそれに合わせていきます。

    撮る側だけ、撮られる側だけではなく、その場でお互いに調整しながら作っていく。

    そうやって二人で作っているからこそ生まれる写真なのだと思います。
  5. 海、風、波、雲、光など、屋外撮影では自分ではコントロールできないものがたくさんあります。
    この写真では、事前に考えて作った部分と、その場で起きたことを受け入れて撮った部分はどのくらいありましたか?

    何といっても、一番コントロールできないのは天候です。

    ただ最近は、撮影する日を決めて現地へ向かった以上、「その日の天候も味方につけよう」と考えるようになりました。

    ロケーションについては、ある程度事前に把握しておくことが必要だと思っています。もちろん、立ち入り禁止の場所へ入らないことや、住人の方、施設の方などへ迷惑をかけないことが大前提です。

    今回の撮影場所は、海水浴シーズンが終わった後の遠浅の海岸でした。

    砂浜も広く、太陽がまだ低い時間帯に空を大きく取り入れて撮影するには、とても良い場所だと思い選びました。

    一方で、今回の「海霧」は完全に偶然出会ったものでした。

    もともとは青空を背景に撮ることも想定していましたが、なかなか出会うことのできない景色が目の前に現れたので、その状況を受け入れ、「この海霧をどう写真に取り入れるか」を山中さんと話し合いながら撮影していきました。

    基本的な考え方は変わりません。

    写真は一緒に作り上げるもの。

    そのスタイルは、これからも変わらないと思っています。
  6. 撮影すると、同じ日の中にもたくさんの写真が残ると思います。
    その中で、この一枚が単なる「撮影データ」ではなく、展示したい「作品」になった決定的な理由は何だったのでしょうか。
    技術的に一番きれいだったからなのか、それとは別の何かがあったのかも伺いたいです。

    海霧、海岸線、水面に映った光、そしてその中に存在する人物の姿。

    それらすべてが一枚の中で調和していると思えたことが、一番大きな理由です。

    技術的に一番きれいだったからというより、見た瞬間にシンプルに「この写真だ」と思えました。

    夏の終わりの空気と、その余韻が残っている。

    「夏余」というテーマなら、この写真だと思い選びました。
  7. この作品の光や色は、実際にその場で見た景色を再現することを意識されたのでしょうか。
    それとも、撮影した日の記憶や感覚に近づけるように現像・レタッチされたのでしょうか。
    この作品の空気を残すために意識したことがあれば教えてください。

    写真に写っているように、この日は海霧が発生していました。

    まだ高く昇っていない太陽の光が海霧に当たり、反射しているような状況で、なかなか見ることのできない光景でした。

    そのため、実際の色を大きく変えるというよりも、その場で見て、感じた記憶に近い状態を残すことを意識しました。

    色についてはほとんどそのままで、明暗を少し調整した程度です。

    かなり撮って出しに近い写真だと思います。
  8. 写真はモニターで見る状態と、プリントして額装し、空間に展示された状態では印象が変わると思います。
    今回、実際に展示されたご自身の作品をご覧になって、撮影時やモニター上では気づかなかったことはありましたか?
    「プリント作品になって初めて感じたこと」があれば伺いたいです。

    やはり、画面だけでは分からない情報が見えてくるので、プリント作品にして良かったと思いました。

    自宅にもプリンターはありますが、今回のように展示する機会があれば、今後も大きなプリントで作品を見てもらいたいと思っています。

    写真を画面の中だけで終わらせるのではなく、プリントという形で見てもらえる機会を、これからも持てたらいいですね。
  9. 今回は作者自身ではなく、実際に会場で作品を見た来場者の投票によって1位になりました。
    Sat Shin様がこの写真で伝えたかった部分と、来場者が惹かれた部分は同じだと思いますか?
    ご自身では想像していなかった受け取られ方があったとしたら、それもぜひ伺いたいです。

    最近の撮影では、先ほどもお話ししたように、

    「時間と空気、そして目の前に広がる風景を司る。」

    そういったことを一つのスタイルとして意識しています。

    今回の写真も、その部分が見てくださった方の目に留まっていたのだとしたら、とても嬉しいです。

    正直、来場者の皆様の投票で二度目の1位に選んでいただけるとは思ってもいませんでした。

    素直に、ありがとうございます。

    最後はその言葉で締めたいと思います。
  10. 写真は撮影した瞬間を残すものですが、時間が経つことで、撮った本人にとっても意味が変わることがあると思います。
    何年か後にこの作品を見返したとき、Sat Shin様自身に何が残っていてほしいですか?
    また、モデルさんや、この写真を見た方には、どんなものが残っていたら嬉しいでしょうか。

    記憶に残る一枚であってほしいと思います。

    写真は、撮影した時間やそのときの空気を、「形あるもの」として残すことができます。

    何年か後に自分がこの写真を見返したときにも、この日のことを思い出せるような一枚であってほしい。

    そしてモデルさんにとっても、単に撮影した一枚ではなく、一つの「作品」として写真の余韻が残ってくれていたら、それに越したことはありません。
  11. 今回の作品や、来場者投票1位という結果を経て、次に撮ってみたいもの、改めて写真で残したいと思ったものがあれば教えてください。

    また、記事内でご紹介をご希望の
    ・SNSアカウント
    ・写真展
    ・写真集
    ・今後の活動
    ・その他のお知らせ
    などがございましたら、あわせてお送りください。

    これからも、目に留まる写真、記憶に残るような写真を撮り続けていきたいですね。

    仕事柄、海外へ撮影に行くことはなかなか難しいので、日本のどこかにある美しい風景と一緒に、また作品を残していけたらと思っています。

    撮影頻度は以前よりさらにマイペースになっていますが、これからも自分のペースで続けていきたいと思います。

    個展についても、今回の展示のあと、またいつの日か開催できたらと思っています。

プロフィール

Sat Shin(さとしん)

X:@ss4fath

INFORMATION

個展「うつろい。」
会期:2026年11月27日(金)〜11月29日(日)
会場:浅草橋 写真企画室ホトリ

今後の活動
マイペースで継続していますが、撮影頻度はさらにマイペースに減らしています。
個展はこのあとも、できたらまた、いつの日にか。

受賞作品

海と海霧が広がる砂浜で、人物を遠景に捉えた写真

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